人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

玉川上水のぷりん屋案内(旧マドレーヌの日誌)

madedairy.exblog.jp

植田絢子先生とおうちにアップルパイがある幸せ

植田絢子先生とおうちにアップルパイがある幸せ_e0254894_08552194.jpeg
12月の教室お申込みありがとうございました。ショートケーキのワークショップはまだお席あります。ごくごく少人数でやりますのでお気軽に。

11月7日、私にヨーロッパの伝統菓子や家庭菓子を教えて下さった恩師の植田絢子先生のご自宅に行ってきました。今回も拙著「本当においしい生地作り」をお渡しすることが出来ました。

先生は86歳になられてなおお元気です。
森山サチコさんと同期の東京製菓ご出身で、私が知る中でももっとも美味しくて知られていないようなお菓子を作って教えて下さる先生でした。

ご主人様が新潮社にお勤めだったせいなのか、本は出さないというご方針で(新潮社はお菓子の本とか確か出していない)以前食い下がってお尋ねしたこともありましたが、それはずっと曲げずにおられました。

先生との出会いは昔ブログに書いたこともあったけれど、店で働いていてお菓子の仕事が嫌いになり、スランプでいた時に、窓の中を爪先立ちで覗いても見えないくらい小さな時から憧れていた植田絢子洋菓子教室の事を思い出して、案内をもらいに寄ったことでした。

当時、店の定休日が木曜日だったので木曜日の研究科に入れてもらい、月に一度通いました。

植田先生のレッスンは、どんなに一流シェフの講習会を受けても響かなかった私の心に忘れかけた何かを与えてくれました。魂が震える感じでした。

高校生の頃、当時エミリーフローゲの藤生義治シェフの
お菓子を食べた時にも魂が震えましたが、たぶんその2つが私のターニングポイントで、それがなかったら今の自分はなかったのでは無いかと思うほどです。

ターニングポイントと言えばお茶の先生との出会いもそうなんですが、実は植田先生のお庭は純和風の苔むした茶室のような作りで、それが先生のお好みと知った時は不思議な気持ちでした。

お茶の先生とお菓子の先生に共通点があったことに人生のメッセージのようなものを勝手に感じました。

人生にはあらかじめ「ここで登場して下さい」とお願いした人物がいると言うのは本当なのかもしれないです。

私はパティシエになるにはずいぶん遠回りで、エミリーフローゲ本店でアルバイトしたものの就職ならず、財団法人に就職して退職して製菓学校行って店で働いてあらゆる講習会を受けて必死でした。嫌な目にも沢山遭いました。恵まれていないなと感じていました。

疲れてスランプになった時に植田先生に出会い、そもそも家庭菓子が好きだった自分に戻って力が抜けて今に至っています(すぐに良くなったわけではなく、独立してからもしばらくの間は氷河期のような時期が長く続きました)。

お菓子教室はお茶のお稽古でお茶事を経験していたから出来たと思うし、本筋と違うかな?と思うことも実は本筋のためのものだったりして、人生って面白いなと思います。

出会う人は皆んな神様と言う言葉があります。

振り返ると、給食が美味しいで有名な立川第一小学校だったことも自分の味覚に影響を与えているだろうし、だとしたら給食のおばちゃんたちは神様です。

なんでもよく作る母と祖母がいて、その母のためにオーブンをプレゼントした父がいて、食べてくれる家族や褒めたり、アドバイスをくれるご近所さんがいて、それで今の自分は出来てきたんだと思うと感謝の気持ちが脳内でスパークして、なんとも言えない気持ちになりました。

感謝でありがたくてありがたくて、今度はそれを自分がする側にならなくては!と前よりも思うようになりました。

それで、また教室を新たな気持ちで再開しようと思いました。

来年のお正月で50歳になる今、そのことに気がつけてよかったなと思います。
植田絢子先生とおうちにアップルパイがある幸せ_e0254894_08545847.jpeg
先日アップルパイを久しぶりに焼きました。以前教室でやるはずが、バター不足の煽りを受けて休講したメニューです。
植田絢子先生とおうちにアップルパイがある幸せ_e0254894_08534729.jpeg
炉開きの日で、お茶仲間に焼き立てをおすそ分けしました。妹弟子さんの一番下の娘さん(7歳ぐらい)が会うといつも素っ気ないのに実は私のことを「ぷりん屋さん」と呼んで絵まで描いてくれていることがわかって、嬉しくなってアップルパイ食べてもらいたくなりました。

手作りのお菓子、それもお金で買うことができないお菓子、誰かのためだけに作ったお菓子には心に化学反応を起こす何かがあります。これは、私が経験して育ったので言い切れます。

焼いて冷ます間、アップルパイがお家にある幸せってあるなとふと思いました。

その時のアップルパイは甘くて美味しくてときめくものでなくてはいけません。

美味しいと言うのは理屈抜きだからです。

「この世でうちの手作りお菓子が世界一!」と子供に思ってもらわなくてはいけません(たとえそのケーキが失敗でも子供はそう思ってくれます。)

1人でも多くのお子さんがそれを感じられるといいなと思います。

砂糖が良くないと言われていますが、砂糖は取りすぎなければ身体を緩め、ストレスを緩和してくれます。それと、大人と子供では代謝も違います。

砂糖が良くないのではなくて摂り方です。

甘いだけなら砂糖を舐めれば良いのに何故人は昔からどの国の人もお菓子を作ってきたのか...私はよくそれを考えます。

無くてもいいような事が実はとても大切というのに似ているような気がします。

毎日リッチなお菓子を食べる必要はありません。ごくごくたまにでいいんです。

物を作るということは、大切にすることにもつながります。手芸でも自分で作った作品は人から見るとボロ切れのように思えても変え難いのと同じです。食べ物にもそれがあります。

今回の本にはそんなような言葉にし難い自分の思いを込めています。それが伝わるといいなと思ったら、Amazonのレビューで心に関して書いてくださった方がいて、感動してウルウルしてしまいました(相変わらずドライアイなのでとても沁みました)。

ちょっとお節介で支離滅裂なブログになりましたね。
もうしわけありません。

植田絢子先生とおうちにアップルパイがある幸せ_e0254894_11334118.jpeg
平和なぷりんちゃん


















by made-sato | 2017-11-21 11:00 | 日誌/お知らせ
<< 2017年12月の教室報告 2017年12月の教室告知(受... >>